白痴の蜘蛛ロマの正体はゲールマン説
★白痴のロマの正体はゲールマン説
正確にはゲールマンの死体(肉体)が「白痴の蜘蛛、ロマ」です
ブラッドボーンには使用する事で「血の遺志」を得る事が出来る「死血の雫」と言うものがあります。今回の考察はアイテムのテキストではなく、その"効果"について着目します。まさかこんな所にヒントがあるとは思いもしませんでした、考えてみれば簡単な話だったんです。
■死血の雫
使用により血の遺志を得る
■眷属の死血
使用により名状しがたい血の遺志を得る
■上位者の死血
使用により宇宙悪夢的な血の遺志を得る
死血は使用により血の遺志を得る物、それは「上位者の血に近付く程」より多くの血の遺志を得る事が出来るんです。 言い換えれば血の遺志を集めれば集める程、継承すればする程(※1)その狩人は上位者へ近付く事になります。
ロマは上位者に連なる眷属の死血をドロップする事から上位者に片足を突っ込んでいるのが分かります。そして上位者と言うのはウィレーム先生曰く(※2)高次元の思考を持つ存在の事です。つまり血によって存在が上位者へと昇華するのであれば「血の遺志」にこそ上位者の叡智(知識)があると解釈する事が出来ます。
それって啓蒙の事じゃないの?と思う方、居ると思います。ここでアイテム血の穢れのテキストと効果に着目します。
■血の穢れ
血の狩人が「死血」の中に見出すという、おぞましいもの。「血の遺志の中毒者」、すなわち狩人こそが宿す確率が高いと言う。
効果:使用により「啓蒙」を得る
・死血(血の遺志)の中には啓蒙(上位者の智慧)も宿っている訳ですね。簡単に考えれば獣を狩れば血の遺志を継承(獲得)出来るので狩りをすればする程、上位者へと近付く訳です。
■カレル文字「継承」(※1)
継承とは狩人の有り様である。すなわち血の遺志を継ぐ者だ。
・血の遺志を継ぐ有様が狩人と言う事ですね。何も難しいことはありません。いつもの私達の事です
■カレル文字「瞳」(※2)
「瞳」はまた、学長ウィレームが追い求めた探究の象徴である。彼は人の思索のあり方に絶望し高次元思考者たるを目指した。自らの頭、脳の中に、「思考の瞳」を欲したのだ
■へその緒
かつて学長ウィレームは「思考の瞳」のため、これを求めた、脳の内に瞳を抱き、偉大なる上位者の思考を得るために…
■上位者の叡智
上位者と呼ばれる諸々の存在、神に近い彼らの失われた叡智の断片。かつてビルゲンワースのウィレームは喝破した 「我々は、思考の次元が低すぎる。もっと"瞳"が必要なのだ」
・少し長くなりましたが思考の瞳が上位者の叡智なら、そのアイテムを使うことによって得られる啓蒙もまた上位者の叡智(智慧)って事ですね。
☆さて、残念ながらゲーム内情報では上位者についてはここまでしか追う事が出来ません。この先は解釈に解釈を重ねてしまう形になるので想像の余地となってしまいます。所謂妄想ですね。
ゲールマンは最初の狩人であり、長き(4~60年)に渡り狩りを続けていたと推測出来るので獣を狩る事によって得られる血の遺志を大量に所持していたと考えられます。
もちろん、その膨大な名状しがたい血の遺志というのは彼だけが獣を狩り、継承してきた血の遺志だけではなく、夢の狩人達を介錯する事によって全ての血の遺志を継承してしまっていた訳ですね。
そして「血の遺志」を得る程その狩人は上位者へと近付くことになってしまいます。ゲールマンはその後どうしてしまったのでしょうか?最早彼が名状しがたい血の遺志により上位者へとなってしまう事は避けられません、「血の遺志」を捨てなければ……ん…あれ?なんでしょうかこのデジャヴ…?
■狩人の徴
脳裏に刻まれた逆さ吊のルーン。これを強く思うことで、「血の遺志を捨て」狩人は"目覚め"をやり直す。全ての出来事がまるで悪夢であったかのように…
・狩人(ゲールマン)は全ての血の遺志(智慧)を捨て、夢で目覚めた(やりなおした)事が分かります。まことに都合のよい技術である。 しかし精神の世界である狩人の夢をやり直したところで肉体は現実世界、肉体の世界に置き去りのままです…(※3)
ゲールマンは狩人であろうとする為、血の遺志を全て捨てたのです。 前述の考察によると「血の遺志」とは「知識」だった筈です。ゲールマンは莫大な血の遺志により上位者化してしまいましたが血の遺志を全て捨て、夢をやり直した(※3)のです。 見方を変えると"上位者化した肉体は知識(血の遺志)を全て失った"のです。これってつまり上位者化した「肉体」は「白痴」になったって事ですよね?これが「ロマ」の正体です。
余談:現実のジプシーの言葉でロマとは人間という意味だとかなんとか
※3
さて肉体と分離したゲールマンは一体どういう存在なのでしょうか…答えはギリギリゲーム内テキストから見つける事が出来ました。
■カレル文字「月」
悪夢の上位者とは、いわば感応する精神である。
・はい、これだけです。酷いことだ、頭の震えが止まらない。しかしこれは単純な話なのです。肉体から切り離された存在は夢で目覚めた「精神」なんです。 これ要するに精神体の事ですね。フロムで馴染み深いファントムの事です。元ネタはおそらく「我思う、故に我在り」で有名なデカルトの実体二元論です。
あ、簡単に言っちゃうと幽霊の世界です。
■青い秘薬
それは脳を麻痺させる精神麻酔の類である。だが狩人は、遺志により意識を保ちその副作用だけを利用する。即ち己が存在そのものを薄れさせるのだ
・何故「精神」が不安定になると「存在」が薄れるんでしょうね。夢の狩人である主人公もまた「精神体」である事の裏付けかと思います。
夢にいるゲールマンは当然、夢をやり直したので自分がロマになった事なんか忘れている筈です。(ここ重要)
さて、この説はここから段々と本題へとなっていきます。ロマの正体がゲールマン(詳しくはゲールマンの死体がロマ)と仮定して考えると、物語の出来事を追っていくとどうしても不自然な点である「ローレンスとゲールマンの約束」と「ゲールマンの死体だけが見つからない点」やゲールマンという存在だけ消された様な奇妙な問題が解決していきます。この不自然さを感じていた人はかなり多いのではないでしょうか。
★劇中の状況分析
1.ローレンスはゲールマンと約束をしている
2.ローレンスは教区長で実験棟の学習と関わっている(瞳のペンダントより)
・実験棟では星界への交信(実験)をしていた(彼方への呼びかけより)
・実験は失敗した、しかしそれは星の小爆発となり隕石を降らせた(同上)
3.現実の大聖堂の奥、"実験棟の下層"にあたる嘆きの祭壇にはロマの死体がある
・ロマは隕石を降らせる(ロマ戦より)。よって星界への交信の失敗はロマ(ゲールマンの肉体)との交信の可能性がある。
4.実験棟には拝領のカレル文字と共に頭の無くなった患者が徘徊している
・拝領がその者の本質を得る行為であるなら、ロマの本質は蜘蛛であり蜘蛛とは脳が頭だけではなく胴体にも及んでいる生物であるから胴体だけとなった患者が動いている事の裏付けとなる。
つまり実験棟の拝領とはロマの血の拝領である。その血を使い交信しようとする相手は勿論ロマ(ゲールマン)であり、これは「星界への交信」という言葉で説明がされているので交信する相手は「星界」に居ることが分かる。 深く言うと星界に囚われたゲールマン(精神体)との交信であると考える。よって星界とは「狩人の夢」の事でもある。
・また、更なる裏付けとして実験棟や聖堂街上層にはロマの様な外見のオブジェクトがいくつも設置されている。(実験棟の黄緑色の照明のオブジェクト)
5.悪夢に囚われたマリアやミコラーシュやローレンスといった主要人物と思われる遺体の確認は出来るが、ゲールマンという重要人物の遺体だけ確認する事が出来ない。
仮にも最初の狩人であり、全ての工房の源流でもあり、様々なものに影響を与えた程の存在なのにどこにも痕跡を見つけることが出来ない。これはどう考えても不自然である。
6.ロマを倒すと赤い月が顕現するが、ゲールマンの撃破時もまた赤い月(青ざめた血=血の遺志)が顕現する類似性がある 。
7.ロマを倒すと人形が『狩人様⋯あなたから、懐かしさを感じます⋯ 』という台詞が追加される。
・主人公がロマの遺志を継承した直後に「懐かしい」と言う
●これらの仮説を通して考えると、ロマの秘匿とはゲールマンが集めた大量の血の遺志(青ざめた血)の事だと推考出来ます。そしてそれは「白痴(狩人の徴)」によって隠され(忘れ)ています。
狩人の夢にあるこの膨大な血の遺志(青ざめた血)は勿論ゲールマンだけが集めた物ではなく、代々獣狩りの夜の夜明けの度に行われてきた"介錯"によって全ての夢の狩人達から集めた(継承した)血の遺志でもあります。
ローレンスが実験棟の実験により交信しようとした場所は星界であり、その実験の後継者である聖歌隊は宇宙(星界)に交信を始めたのです。
宇宙が空にあり「狩人の夢」であるのならば、空はゲールマンが夢の狩人と共に集め、そして忘却(秘匿)している悍ましい「青ざめた血の空」になるでしょう。
『見たまえ!青ざめた血の空だ!』
また、実験棟患者アデラインより教会の警句がウィレームの物ではなく「血の渇きを恐れよ」に変わっているのもこの示唆でしょう。
この言葉はゲールマンを助ける為に必死に踠き、ゲールマンを救おうとする教区長ローレンスその本人の言葉であるからだ。ゲールマン(ロマ)の血の渇きを恐れよ。医療教会の象徴が「輸血液」というのはここから来ていると考えられます。
★主人公がオープニングムービーで血の遺志(青ざめた血)を少量輸血された際に現れた(見えた)獣は、エンディングで大量の血の遺志(青ざめた血)へと変わり、瞳(啓蒙=見え方の違い)を得た狩人にはその青ざめた血の姿が形容し難い月の魔物の様に映ったのでしょう。
『青ざめた血の考察』
▲終
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Bloodborneの考察に真実も答えもあろうはずはなく、故に得体は知れぬものだ。